(天候により逆向きで攻める)
距離: 81.2km
獲得標高: 420m
正味ライド時間: 4h20m
天候: 曇り 18℃/20℃
風:東南東 6m(追い風)
風と雨雲を読む輪行の判断
夜のうちに少し雨が降ったようで、朝の路面はうっすらと濡れていた。午前中の天気も不安定な予報だ。
思案の末、今日のプランを変更。
先に厚岸から根室へ輪行で移動し、「根室→厚岸」へと逆向きにライドすることにした。
東南東6mの風が吹く今日、この判断ならば終始「強い追い風」を味方につけることができる。
宿の朝食を済ませ、雨が本格的に降り出す前にと早々に厚岸駅へと向かう。
道中、昨日も見かけた鹿の群れに再び遭遇。宿の女将さん曰く、餌付けをしているわけでもなく、糞害に困るくらいで普通にその辺にいるのだという。
人に怯えるでもなく、懐くでもない絶妙な距離感だ。

📷 厚岸駅へ向かう途中に佇む鹿の群れ 街に溶け込む日常 怯えず懐かず。北の大地の日常に苦笑しつつ駅へと急ぐ
厚岸駅9時15分発の「地球探索鉄道号」に乗車。 埼玉からのクラブツーリズムの団体客も乗り込んできた。
バスよりも鉄路から眺める別寒辺牛(べかんべうし)湿原の車窓の方が圧倒的に素晴らしいのだという。
車窓の絶景に頷きながら揺られること2時間。

📷 厚岸駅に入線する「地球探索鉄道号」。白線を跨ぐツーリスト客が危なっかしい
午前11時15分、日本最東端のターミナル・根室駅へと到着した。
厚岸へは余裕を見て17時30分には戻りたい。
残り6時間少々で約80km。
普通なら余裕のペースだが、初めて走る未知のルートゆえ油断は禁物だ。

📷 根室駅前で出発の輪跡を刻む 最東端からの逆襲 風を読み、根室から厚岸へ。80kmの道のりへ走り出す
出走前、根室の名店「回転寿司 根室花まる 本店」に駆け込み、名物のすじこを頂く。
時間が気になりつつも、地元産の新鮮なネタを他に4皿ほど急ぎ胃袋へ収め、いざ相棒とともに漕ぎ出した。

📷 根室花まる本店で頂く名物すじこ 最東端の至福 時間を気にしつつも急ぎ味わう地元ネタ。最高のエネルギー補給
初の根室海峡と牧草地の先人たち
走り出して最初の15kmは、容赦のないアップダウンが続く辛い行程となった。
上り坂ではなかなか距離が伸びずに気が焦るが、予想通りの強い追い風が背中を力強く押してくれる。
坂を越えると、視界の先にオホーツク海と太平洋をつなぐ根室海峡の海が広がった。
自転車の旅で根室海峡の海を目にするのはこれが初めて。
ただそれだけで無性に嬉しい。
初めて出会う根室海峡の海原にワクワクとしたが、いざ眺めてみれば「見た目はどこの海も同じだな」と一人苦笑い。

📷 自転車旅で初めて眼下にとらえた根室海峡の海。歓喜の走破の感慨に浸るも、「見た目は同じ海」という現実味に笑う
15kmを過ぎてからの道は平坦で走りやすい快走路へ。
相変わらずの「北海道品質」な荒れ気味の舗装ではあるが、車の往来が少ないため、遠慮なく車道の中央をのびのびと走らせてもらった。
温根沼(おんねとう)大橋を渡り、風蓮湖(ふうれんこ)の脇を抜け、根室から32km地点の「厚床(あっとこ)駅」へ到着。
近くのセイコーマートで一服を入れる。
久々のコンビニだ。次のコンビニは実に30kmも先の茶内(ちゃない)までお預けとなる。

📷 広大な風蓮湖の湖畔を通り抜ける 汽水湖の静寂 追い風に乗って快適に距離を消化していく

📷 静かに佇む厚床駅とセイコーマートの休息 30kmぶりの補給点 久々のコンビニで一服。ここから先は再び無人地帯へ
道中、終始漂う甘酸っぱい牧場の匂い。
一面に広がる果てしない牧草地が、刈り取りの時をじっと待っている。
かつて辺境の森を開墾し、この広大な牧草地を作り上げた先人たちの凄まじい偉業に思いを馳せずにはいられない。

📷 一面に広がる刈り取りを待つ牧草地 先人への敬意 開墾の歴史に想いを馳せる。辺境の地に刻まれた偉大な足跡
牧場の柵越しにカメラを向けると、好奇心旺盛な牛たちがぞろぞろと近寄ってきた。

📷 好奇心旺盛に近づいてくる牧場の牛たち のんびりとした視線 カメラを向けると寄ってくる愛らしい姿に心が和む
湿原の恵みと三国峠からの結実
快適だった平坦路も、ラスト35kmに差し掛かると再び地味なアップダウンが現れ始め、疲れた脚をじわじわと苦しめてくる。
終始「いつ雨が降ってきてもおかしくない」どんよりとした空模様。
途中2回ほどパラパラと雨滴が落ちてきて焦らされたが、幸いにも道を濡らすほどの本降りにはならずに済んだ。
やがて道は別寒辺牛川に沿って伸びる「別寒辺牛湿原」へ。
約5kmにわたって広がる幻想的な湿原風景だ。
この豊かな湿原から流れ出る滋養と栄養が、そのまま厚岸湾へと注ぎ込み、あの大粒で極上の牡蠣を育んでいるのだという。
昨日味わった厚岸の牡蠣の特別さが、この美しい風景を目にしてようやく腑に落ちた。

📷 別寒辺牛川沿いに広がる雄大な別寒辺牛湿原 牡蠣を育む源流 湿原の栄養が厚岸湾へ。極上の味覚を生む生命の神秘に触れる
アップダウンと戦い抜き、16時30分、無事に目的地の厚岸駅へと戻ってきた。
刻限より1時間も早いゴールだ。
厚岸駅17時51分発の列車に乗り込み、本日の宿泊地である釧路へと戻る。
この日のゴールをもって、かつて走った「三国峠」から最東端の「根室」までの動線が、自らの輪跡によって完璧にひとつに繋がった。
北の大地に刻み込んできた一本の線が、また大きく伸びた歓び。
明日からは釧網本線沿いを北上し、北海道ライドの締めくくりとなる最後の国、「北見の国」を目指してペダルを回す予定だ。
今日も無事に走り切れたことに感謝を。

📷 夕刻の厚岸駅舎と旅を支えた愛車 三国峠から根室への結実 無事に動線が一本に繋がった達成感とともに釧路へ還る

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