(ノロッコ号ラストランの夏とラベンダーの記憶)
トロッコ号ラストランと旭川への発進
「富良野美瑛ノロッコ号」が2026年シーズンをもってラストランを迎えると聞き、さらに季節特急「フラノラベンダーエクスプレス」も今日から運行を開始すると知れば、富良野行きを計画しない手はない。狭いノロッコ号に自転車を持ち込むは止めよう。今日は休足日だ。
朝の札幌駅から「特急ライラック3号」に乗り込み、まずは旭川を目指す。車窓の風景を眺めながら、これからの観光列車の旅に胸が高鳴る。

📷 朝の札幌駅に入線する特急ライラック3号 休足日の旅立ち 今日はペダルを休み、鉄路で夏の富良野を目指す
旭川駅で富良野線のホームへ向かう。 発車7分前、ゆっくりと入線してきた「富良野美瑛ノロッコ号」をカメラに収め、乗り込む。乗車すると早々に記念の乗車証明書へスタンプを押し、心地よい風が吹き抜ける車窓の風景に身を委ねた。

📷 発車を待つ富良野美瑛ノロッコ号 ラストランの夏 2026年で最後となる懐かしき車両へ、期待を込めて乗り込む
美瑛を過ぎてしばらく走ると、車窓の右手にぽつんと佇む「赤い屋根のある家」が見えてきた。 ハウス食品のCMなどでも一躍有名になった、美瑛の丘を代表する叙情的な情景だ。流れる景色の中から一瞬のフレームを切り取る。

📷 美瑛の丘に佇む「赤い屋根のある家」 車窓の名景 静かに佇む赤い屋根。CMで憧れた風景が眼前に広がる
ファーム富田とラベンダーの歴史
季節限定の「ラベンダー畑駅」で下車し、初夏の風を感じながら徒歩で「ファーム富田」へ向かう。 一面に広がる鮮やかな紫色のラベンダー畑。その圧倒的な美しさに思わず息をのむ。
富良野でラベンダーの本格的な栽培が始まったのは1958(昭和33)年。ちょうど私がこの世に生を受けた頃のことだ。 その後、1972(昭和47)年のオイルショックや輸入香料オイルの価格暴落により、合成香料へのシフトが進み、富良野のラベンダー農家は相次いで撤退。経営は決定的な危機に瀕したという。
それでも富良野で唯一、細々と栽培を続けていたのがこの富田ファームだった。 絶望的な状況の中、転機は突然訪れる。国鉄のカレンダーやポスターに富田ファームのラベンダー畑の写真が採用されると、その幻想的な美しさに魅了された観光客が全国から殺到。これを機に自社での香水や石鹸開発にも成功し、見事な復活劇を遂げたのだ。
風に揺れる紫の花々を見つめながら、試練を耐え抜いた人々の熱い歴史に深く思いを馳せた。

📷 ファーム富田に広がる紫の絨毯 復活の紫 経営の危機を乗り越え、今や世界中を魅了する富良野の象徴
ポッポブリッジからの撮影とノロッコ号
富良野の街をのんびり散策しながら駅へと戻る。 歩行者用の跨線橋の存在に気づき、階段を上ってみる。16時14分発の「ノロッコ6号」が発車していく様子を上空から見事に捉えることができた。街を歩いてみなければ出会えなかった、嬉しい撮影スポットの発見だ。

📷 跨線橋の上から見送るノロッコ6号の発車 散策の成果 歩行者用跨線橋から切り取った、旅情あふれる発車シーン
続いて本日のお楽しみ、帰路に利用する「フラノラベンダーエクスプレス」の入線姿を狙う。 駅の奥からの入線だったため、エレベーターで上がった自由通路「ポッポブリッジ」からカメラを構えた。シックなラベンダー色の車両が静かにホームへと滑り込んでくる。

📷 ポッポブリッジから見下ろすラベンダーエクスプレスの入線 洗練された車両 上空からのアングルで、ホームへと入る美しい車体を捉える
階下に降り、ラウンジカー側の前面姿と、特別感あふれるラウンジカーの車内を撮影する。

📷 ラウンジカー側の前面から捉えたラベンダーエクスプレス 夏の特別列車 鮮やかな装い。これより札幌への快適な鉄路の旅へ

📷 落ち着いた雰囲気が漂うラウンジカー車内 上質な車内空間 贅沢なフリースペースで、ゆったりと車窓を愉しむ
ラウンジカーでの車窓と帰路
列車に乗り込み、しばらくはラウンジカーのシートに腰掛けて車窓を眺める。 だが、山線(旧根室本線回り)を辿るルートのため、列車はほどなくして深い山の中へと呑み込まれていく。
滝川駅で函館本線に合流してからは、見慣れた空知の田園風景の中を札幌に向かって滑るように走る。 ラウンジカーで傾けるお茶とともに、流れる景色をぼんやりと眺める贅沢な時間だ。
自走で風を切る一日も素晴らしいが、歴史ある観光列車に揺られ、土地のストーリーに触れる休日もまた味わい深い。
足を休め、心を満たした一日となった。 明日からは再び相棒とともに、北の大地を駆け抜けることにしよう。
今日も良い旅ができた。感謝を。


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